油って体に良いんですか?
体に良い油もあるよ!
油というとカラダに悪いイメージがありますよね。
しかし、油のなかにもカラダに良い油(良質な油)があることをご存知ですか?
具体的には「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」というものがあるのですが、一体どんな油なのか気になりますよね。
そこで今回は、脂肪酸を切り口に「飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸」について詳しく解説していきます!
- 飽和脂肪酸・不飽和脂肪とは?
- オメガ3・オメガ6・オメガ9とは?
- SMP比とは?SMP比の理想
- 良質な油の適切な摂取量について
適切な摂取量も詳しく解説しているので、ぜひ最後まで読んでみてください!
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脂肪酸とは
今回のテーマを知るためには、まず脂肪酸について理解を深める必要があります。
脂肪酸とは脂質を構成する主要成分で、図の通り「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」に分類されます。
たとえば、同じ常温でもお肉やバターなどは固形ですが、オリーブオイルなどは液体です。これはまさに、脂肪酸の種類と性質が異なるからです。
では、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸はそれぞれどのような役割があるのか?それぞれ詳しくみていきましょう。
飽和脂肪酸とは
飽和脂肪酸とは、肉の脂身やバターなどの動物性脂肪に多く含まれる脂肪酸です。
食事からの摂取だけでなく、体内でタンパク質や炭水化物の代謝物から合成されるほか、融点が高いため常温でも固体のものが多いのが特徴です。
たとえば、肉の脂身やバターは常温でも固体のままですが、これはまさに飽和脂肪酸にあたります。
なお、飽和脂肪酸は主にエネルギー源になる栄養素ですが、中性脂肪の原料でもあるため摂取量には注意が必要です。
また、過剰に摂取するとLDL(悪玉)コレステロールを増加させ、動脈硬化のリスクを高める恐れがあります。
不飽和脂肪酸とは
不飽和脂肪酸とは、植物性の食品や魚に多く含まれる脂肪酸です。飽和脂肪酸と違って融点が低いため、常温でも液体のものが多いのが特徴です。
たとえばオリーブオイルなどは常温でも液体のままですが、これはまさに不飽和脂肪酸にあたります。
また、不飽和脂肪酸は「一価不飽和脂肪酸」と「多価不飽和脂肪酸」に分類できます。一価と多価の違いは、炭素間の二重結合が1つもしくは2つ以上かどうかの違いです。
さらに一価不飽和脂肪酸は「n-9系」に、多価不飽和脂肪酸は「n-6系とn-3系」に分類できます。
n-9系脂肪酸(オメガ9)
n-9系脂肪酸とは、不飽和脂肪酸の一価不飽和脂肪酸に分類される脂肪酸で、オメガ9とも言います。
オメガ9はオリーブオイルや菜種油などに含まれており、なかでもオレイン酸が代表的です。
オレイン酸には、LDL(悪玉)コレステロールの増加を抑え、動脈硬化や高血圧のリスクを下げる効果があります。
n-6系脂肪酸(オメガ6)
n-6系脂肪酸とは、多価不飽和脂肪酸に分類される脂肪酸で、オメガ6とも言います。
体内で合成できない、もしくは合成量が十分でないため、「必須脂肪酸」と呼ばれています。
オメガ6には図の赤枠の通り、3つの必須脂肪酸があります。以下で1つずつ解説していきます。
リノール酸の効果
リノール酸は、オメガ6に分類される多価不飽和脂肪酸の1つで、大豆油やコーン油に含まれます。
血中コレステロールを低下させるため、動脈硬化を予防する効果が期待されています。
ただしリノール酸を摂りすぎるとHDL(善玉)コレステロールも下げる可能性があるため、動脈硬化やアレルギー症状を悪化させるリスクがあります。
γ-リノレン酸の効果
γ-リノレン酸(ガンマ)は、オメガ6に分類される多価不飽和脂肪酸の1つで、ビタミンFとも言われています。(※1)
血糖値やLDL(悪玉)コレステロール値・血圧を下げる効果があるほか、アレルギー症状を緩和させる働きがあります。
後ほど紹介しますが、オメガ3に分類されるEPAにもアレルギー症状を緩和させる効果があります。
アラキドン酸の効果
アラキドン酸は、オメガ6に分類される多価不飽和脂肪酸の1つで、γ-リノレン酸と同様にビタミンFとも言われています。
レバーや卵に含まれており、免疫機能の調整や記憶力を向上させる効果があります。
n-3系脂肪酸(オメガ3)
n-3系脂肪酸とは、多価不飽和脂肪酸に分類される脂肪酸で、オメガ3とも言います。
オメガ6と同様に、体内で合成できないため、必須脂肪酸と呼ばれています。
また、オメガ3にも図の赤枠の通り3つの必須脂肪酸があります。以下で1つずつ解説していきます。
α-リノレン酸の効果
α-リノレン酸は、オメガ3に分類される多価不飽和脂肪酸の1つで、アマニ油やえごま油に含まれています。
必須脂肪酸のなかでもカラダに良い油で、血流改善や血栓予防などの効果があります。
ただし、α-リノレン酸は熱に弱く酸化しやすいので、アマニ油やえごま油を摂る際は加熱調理しないよう注意しましょう。
DHA(ドコサヘキサエン酸)の効果
DHAは、オメガ3に分類される多価不飽和脂肪酸の1つで、イワシ・サバ・サンマなどの青魚に含まれています。
中性脂肪を減らしてHDL(善玉)コレステロールを増加させる働きがあるため、血流改善や動脈硬化などの血管系の病気を予防する効果が知られています。(※2)
EPA(エイコサペンタエン酸)の効果
EPAは、オメガ3に分類される多価不飽和脂肪酸の1つで、DHAと同様にイワシ・サバ・サンマなどの青魚に含まれています。
EPAは主に、血小板が凝縮されるのを抑制する効果があるため、心筋梗塞や虚血性心疾患などの予防効果が知られています。
また、中性脂肪を減らすほか、コレステロールを低下させる作用もあるため、血栓予防の効果も期待されています。
適切な摂取量
オメガ3・オメガ6・オメガ9のなかには、相反する役割をする脂肪酸があります。
たとえば、オメガ3とオメガ6の摂取バランスが崩れると、血液の凝固作用が高まったり、出血が止まりにくくなるリスクが生じます。
そのため、それぞれの脂肪酸をバランスよく摂取することが重要視されています。
では、「バランスよく」とは具体的にどういったものなのでしょうか。
SMP比:理想の摂取バランス
そもそもSMP比とは脂肪酸の比率のことで、それぞれ英語の頭文字をとったものです。
- S=Saturated Fatty Acid(飽和脂肪酸)
- M=Monounsaturated Fatty Acid(一価不飽和脂肪酸)
- P=Polyunsaturated Fatty Acid(多価不飽和脂肪酸)
ここではSMP比を覚えれば問題ないです!
SMP比のバランスは以下の通りです。(※3)
また、多価不飽和脂肪酸であるオメガ3・オメガ6については、現代の食生活ではどうしてもオメガ6が過剰になってしまいます。
そのため、DHAやEPAの摂取量を増やし、総合的にバランスを調整することが改善策となります。
DHAやEPAを多く含む青魚や、体内でDHAやEPAに変換される「α-リノレン酸」を含むアマニ油などを意識的に摂取してバランスをとりましょう!
まとめ
今回は、「飽和脂肪酸と不飽和脂肪」について詳しく解説しました!
少し複雑な分野でしたので、図を用いた説明が多くなってしまいましたが、脂肪酸についてご理解いただけたのではないでしょうか。
油は悪者扱いされがちですが、ヒトのカラダに欠かせない栄養素であり、むしろ良質な油をバランスよく摂取することが重要になります。
まずは普段の食生活で使用する油をオリーブオイルに変えてみるなど、身近なところから無理のない範囲で工夫してみてください!
【参考文献】
本サイトは情報提供ならびに知識向上を目的としたものであり、専門的な医療アドバイスを目的としたものではありません。
ご自身の健康・心身状態に何らかの懸念点がある場合は、健康食品を摂取する前もしくは食習慣を変更する前に、専門医やかかりつけの医療機関にご相談ください。